ラボラトリー方式の体験学習による管理職メンタルヘルス研修

ラボラトリー方式の体験学習での話し合いの様子。ワイワイガヤガヤ、アイデアを出し合っています。

●コロナ禍による研修の変化

代表の木下芳美です。装い新たに、ブログを更新します。

企業でのメンタルヘルス教育や研修のあり方が、この3年で大きく変わりましたね。オンライン研修が当たり前になり、知識を得るための研修であれば、無料の動画で充分と言えます。

加えてリスキリングの機運の高まりから、従業員教育にサブスクサービスを導入する企業も増加し、その中のeラーニングで済ますことも出てきています。有料の研修を導入していただくには、それに見合った質・内容であることが厳しく問われてきていると言えます

そのような中で、2023年度は、対面での集合研修が復活してきました。私としても「わざわざ仕事を中断して集まってもらうのだから」と、改めて襟を正す思いです。管理職が抜けるというのは、仕事が止まってしまうことでもありますから。働き方の変化から、管理職の忙しさに拍車がかかっていると感じるので、余計にです。

●ラボラトリー方式の体験学習には一堂に会する意味がある

さて先日、ある企業の管理職の方々に、メンタルヘルス研修を行ってきました

ラボラトリー方式の体験学習」を用いて、「健康いきいき職場」のためのリーダーシップとコミュニケーションの学びを目的にしたものです。

「ラボラトリー方式の体験学習(以下、体験学習)」は、私にとって大変思い入れのある手法です。それを採用していただけたことが大変ありがたく、準備段階からワクワクしながら、張り切って当日臨みました。

研修中は、強いエネルギーが会場を満たし、ディスカッションやふりかえりの話し合いから聞こえてくる声に、私もテンションが上がりました。

皆さんのひと言ひと言が、

「そう!そこ!いいところに気づいてくれた!」「確かにそうだ!うまいこと言うなぁ!」

と私が感動したり、

「おお~、なるほど~、そう来たか!」「こういう発言は初めて聞いた!」

と新しい視点をもらえたりと、ファシリテーターである私が、参加者の皆さんから教えられることがたくさんありました。

こういうことがあるから、「体験学習」ってやめられないのです。多忙な管理職が職場を離れて受講する研修としての価値が大いにあると感じました。

●津村俊充先生のこと

私に「体験学習」は生涯掛けて探求していくものと思わせてくれたのは、2022年に亡くなった津村俊充先生(南山大学名誉教授)です。私にとってのファシリテーターのお手本のお一人でもあります。

もっと先生から学べるものと思っていましたので、寄る辺を失った思いは今もあります。しかし、先生が残しておいて下さった動画を見たり、Webサイト、論文、書籍を読んだり、ご一緒した際におっしゃっていたことを思い出したり、の中から、今ならわかるということもあって、先生は心の中にいると感じます。そして、それを活かしながら現場に立っています。

●クルト・レヴィンの言葉通りのことが

今回の研修で嬉しかったのは、この研修で初めて「体験学習」を知った方々から、「この手法はスゴい!」「別のエクササイズで、毎年やりたい!」「一般職にも広げたい!」「役員にやらせたい!」という声が上がっていること。皆さん、キラキラした目で、人から教え込まれたのではなく、自分の体験から気づいたたくさんのことに、興奮冷めやらぬ心地だったのだと思います。

日本体験学習研究会制作の日めくりカレンダーの13日に、「体験学習」の祖と言えるクルト・レヴィンの言葉「人は、他者から与えられた知識よりも自ら発見した知識をより信じるだろう」が載っています。まさに今回の研修では、こういうことが私の目の前で起きていました。この言葉のとおりなんだと確信を強くしています。

クルト・レヴィンの言葉