ウェルビーイングとエンゲージメント

笑顔で仕事をする女性

新年度に向けて

年度末ですね。新年度に向けての準備に忙しい方も多いと思います。

中には、4月に新入社員を迎える職場の皆さんもいらっしゃることでしょう。

そして、当の新社会人となる皆さんは、これからの日々に、期待と不安が同居しているような心境ではないでしょうか。

働くことが占める時間は、とても長いもの。ぜひ、働く中に幸せを見つけてほしいなと思います。

それには、周囲の皆さんのサポートが不可欠。自分からサポートを求めるのも社会人に求められる力の一つです。言い出しづらいかもしれませんが、思い切って声を上げてみましょう。

そして、新入社員と関わる皆さん、一人ひとりを大切に、宝と思って関わってください。

ウェルビーイング

さて、ここのところ、ウェルビーイングが、重要なワードになってきています。

直訳すれば「良好な状態」。健康と同義のようですが、それ以上の意味を含んでいます。日本語にしづらいですが、「心身ともに健康で、人や社会とのつながりの中で満たされ、持続的な幸せを感じる状態」と言えます。

幸せの多様化

昭和のある時期までは、経済的に充足されることが働く幸せの重要な条件だったと思います。

今でも、それは確かにそうですが、それだけで幸せとは言えなくなってきました。

また、何に幸せを感じるかも人それぞれ。コロナ禍を経て、その多様化がより進んでいると感じます。

そして、企業も、従業員に幸せをもたらす組織でないと、人材の獲得が難しくなり、競争力が怪しくなってきています。

ですので、各企業には、多様な幸せがあることを前提に、従業員のウェルビーイングを高めるべく、自社にとって効果のある施策が求められています。

従業員エンゲージメント

そして、従業員を財産とし、従業員の健康と働く幸せを増進する取組みを実行することは、会社への愛着や貢献感とも密接に繋がっていることは、容易に想像できるでしょう。

そのような会社への所属感や愛着、貢献したい思いを「従業員エンゲージメント」と言います。エンゲージメントと略して使われることも多いですね。

(心理学の領域には、「ワーク・エンゲイジメント」という概念もあり、厳密に言うと異なるのですが、従業員エンゲージメントには、ワーク・エンゲイジメントの要素も含まれていると考えてよいと思われます。)

ウェルビーイングを高める施策は、従業員エンゲージメントを高めることにもなると言えるでしょう。

従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い

ちなみに「従業員エンゲージメント」は、「従業員満足度」とは、似て非なる概念。

「従業員満足度」は、職場、上司、仕事、報酬などに満足しているかどうかを表すものです。

一方で「従業員エンゲージメント」は、進んで業務に取り組み、職場や会社に貢献したいという高い意欲を持っているかどうかを指します。

「楽な仕事にしてもらえて満足だから、別にがんばって会社の役に立とうとは思わない」というのは、満足度は高いけれど、エンゲージメントが低い状態です。

また、福利厚生サービスを充実させて、色々なメリットを提供しても、残念ながら従業員エンゲージメントとは、無関係であることもわかっています。

新入社員の受け入れに備え

新入社員を迎える職場は、それに備える意味でも、心機一転、ウェルビーイングも従業員エンゲージメントも高めるアクションに出てみませんか。

心理職であるカウンセラーの立場からは、「職場の一員として自分は尊重されてる」と誰もが感じられるような人間関係の形成に、ぜひ取り組んでいただきたいです。

とは言え、これは、単にほめればよいということではありません。心にもない、お世辞を言うのでもありません。

基本的な挨拶は、今さら言う間でもありません。労いの言葉、よい仕事への賛辞など、ポジティブなメッセージを惜しみなく伝えましょう。

一方で、耳の痛いことを言わなければならない場面もありますよね。そんな時には、問題のフォーカスを「人」ではなく、「こと」に絞って率直に伝えることも必要です。

「人」にフォーカスしてしまうと、人格攻撃になりかねません。あなたが問題なのではなく、このことが問題なのである、と伝えるのです。

そして、ぜひ、こうした取組みは、管理職だけで実行するのではなく、職場の全員が自分もよい職場をつくる一員なのだと理解して行うのがお勧めです。

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